『第一話 花言葉は死と・・・・』
奇跡の星、惑星「フーズ」水・緑豊かなこの星は大きな争いも無く、
近宇宙まで到達できる科学力を有していた。
人々は自然との共存の為、人・動物の住まぬ不毛の地を開拓し一極集中都市、
通称『Big City』を建設し移住してから十二年の月日が流れた。
円形状に広がるBig Cityの一番外側に位置する居住区、そこに家族と住む食が細い青年を中心にこの星の物語は回りだす・・・・。
景色がものすごい速さで流れていく
『・・・・・・な・・んだ・・景色が・・・これは記憶・・・僕の?』
長いトンネル状の空間中央の位置に浮かぶ青年の背後から前方へ向かって青年の記憶が流れていく、流れる記憶風景は幼少から少年のころに変わりつつあった。
『走馬灯・・・そうか・・・僕は・・あっ・・中学の頃の・・・』
流れ行く景色の中で少年は優しそうな、気弱そうな笑顔で何気ない日常を送っている
『・・・もう少し・・ゆっくり見たいな・・・・。』
鮮やかな色で流れ行く記憶が青年の十九年を移し終えようとした頃その流れは急激に勢いを失い止まる・・・すると周りの景色がみるみる色を失い灰色の世界となる。
『ここで・・・終わり・・・・・・僕は・・・・・・死・ぬ・・んっっっ!』
立ち尽くす青年の前にまばゆい光が生まれ人の形を作った、その人型はゆらゆらと
不定形にゆれながら青年に向かって口を開く。
『す・・ま・・ない・・・・・守・・・れな・・・・・・た』
『守れない・・・なにを?』
『わ・・たし・で・・はもう・・・ま・・・も・・・い・きみ・・が・・守れ』
『わっかんないですよ、守るとか守れないとか・・ひとの・・人の走馬灯で何を』
『君が・・・守る・・・んだ』
『何をっっっ』
『この・・星を。』
『そんな事・・そんな事僕にはできるわけっ』
『できる。』
『何で僕が』
『君は一度守っている・・・君は・・一度救っている。』
『何を言ってるのかわかりませんよ・・・それに・・僕はもう・・・・・・死・・』
『勇気ある魂よ・・・。』
光の人型は両の腕を開き光を強め灰色の世界を光で染め上げてゆく
『青年よ君の思うままにやればいい、私が与えるのは力のみ、あとは君しだいだ』
人型は光そのものとなりその世界を光で満たしてゆく、立ち尽くした青年もその光に身を任せ飲み込まれていった。
二十八時間三十分前
朝七時三十分 うずまき線内回り、電車内はいつもと変わらず混雑している。
愛子レンは仕事を始めてから一年間一度も座れたことが無い、降りそうな人間を観察するより外の緑を眺めているほうがストレスにならない、昔から人と争う事に興味が無かった母は優しいと言い、父は甘いといっていた、窓の外を横切っていく風景は季節で色が変われど大きな変化は無く愛子レンにはそれが心地良かった。
中枢区セントラル駅2つ手前の花京院駅、満員の電車から降りる人はまばらだ、降りた人にほぼ共通している事はスーツでは無くラフな姿でこれから仕事という感じがしない事である、そんな中愛子レンは駅構内で牛乳を一本買って改札を出るスーツを着た者達を乗せて行った電車が向かった方向にはこの街『Big・City』の象徴でもあるセントラルタワーが建っているセントラルタワーは街の中心に立っておりすべての線路の出発地点となっており上層階には街の中枢機関『管理局』と街が起こる前に各地にあった十二集落の代表からなる『賢者会』が使用しているBig・Cityで最も背の高い建物である、そのセントラルタワーに背を向け愛子レンは自分の勤め先である
清掃局2課の事務所へ向かう。
中枢区・商業区・住宅区からなるBig・Cityの中枢区の外側に清掃局2課の事務所はある、左右を高いビルに挟まれた一日に入る日光は朝日のみという年季の入ったビル好きなら味がある、という感想が貰えるであろうビルへ愛子レンは入っていく階段を上り数年前から貼ってある清掃魂と書かれたポスターを横目に廊下の先にある事務所に入る。
「おはようございます」
事務所には頭の薄いスーツにジャージの上を着た人物と、制服に大きな眼鏡をしたきつそうな女性がいる。
「おお~愛子君おはよう、今日喪良い天気でよかった」髪の薄い男性は腰に手をあて
セルフ指圧をしている。
「天気が悪いとねーくるんだー腰に」なおも腰をぐいぐい押している。
「課長あんまり無理しちゃだめですよ。」
「無理してないわよ」間髪いれず大きな眼鏡をした女性が割ってはいる。
「う・・・ぁ有理さんおはようございます・・・」
「おはよう、そのおっさんは一日中デスクでぼっとしてるか事務所ぉウロウロしてるだけだから。」有理は眼鏡をくいっと上げつつ課長を睨む。
「・・い・一応上司なんだが」
「一応なんて付けてる時点で負けですよ、・・ねぇ愛子君」
「え・・・・あの・・・」
「・・・・・」愛子レンを見つめる上司
「・・・・・・・・・」眼が泳ぎまくる部下
「おはようございまーーす。」 「おはよう御座います」
ドアを開けショートカットの女性と蝶ネクタイをした卵体型の男性が入ってきた、愛子レンは何時もには無いスピーディーかつコンパクトな動きでドアの方向へ踵を返す。
「おはようーございますっ」必要以上に声が出て入ってきた2人がビクつく。
「あっ朝から元気ね」 「おはよう御座います、一日の始まりは挨拶から、とても良い事だと思いますよ」
「そっそうですよね挨拶はた・いせ・・・つ・・・」背後から視線を感じる、逆光で表情は分からなかったけど・・あの時、課長は少し微笑んでいたと思う。
(課長・・・すいません、でも謝ってはいけない気がする。)
5人が異様な空気の中でけん制しあっていると入り口のドアが静かに開く。
「おはようございます」黒髪長身の男が入ってくると場の空気には意も返さず部屋の隅にある多目的情報端末に腕輪を近ずける、端末から電子音がした後腕輪のディスプレイ部分が緑に明滅する。
「あ、そうだ忘れてた」少し慌ててレンも端末へ向かい腕輪を近づける、ショートカットの女性と卵体型の男性もそれに続く卵体型の男性が端末に腕輪を近づけると、端末のディスプレイに『上院 ボウル 着』という文字が映し出された。
「あの、有理さん」
「何でしょう?」くいっと眼鏡を上げる。
「私の名簿いつになったら修正して貰えるのでしょうか、私の名は上院 ポウルであってボウルでは無いのですが。」
有理は上院ポウルを凝視してすこし間を置いて。
「・・・善処します」と眼鏡を光らせる。
「あれ、わざとだよな。」ショートカットの女性がレンの側へ来て小声で言う
「何でですかね」
「書き直すのが面倒なのか、面白がってか、清掃局2課事務・有理 エリ、管理局から二年前に出向、謎多し。」
目に鈍い光を灯らせニヤリと笑うとても楽しそうだ。
「梶先輩、人の分析好きですよね。」
フフンと鼻を鳴らし当たり前だと言わんばかり腕を組んでみせる。
「人間ほど面白い動物は居ないだろう、清掃局二課の人物評なら私、梶 メイコに任せなさいっ、」鼻を鳴らしてふんずり返ってみせる
「なっなんかよく分からないですけどすごいですね」レンも鼻息に中てられてか少し興奮気味になっている。
「聞きたい?・・・聞きたいでしょ」とメイコは得意そうに目を細めている
レンは昔から他人にさほど興味が無いほうだが先輩を立てるのとほんの少しの興味から聞いてみる事にした。
「500円」 「えっ・・・」「一人500円」・・・・・・。
「あっ・・・じゃあ・・いいです」「350円」 「・・・・」 「・・・・」
レンは渋々財布から小銭を出す。
「・・一人分お願いします。」メイコに400円手渡す。
「んっ・・・はいお釣り」レンに10円玉5枚手渡す。
「で、誰が良い、」
あたりを見渡し椅子に座る黒髪の青年に目を止め、小声で伝える。
「音戯先輩でお願いします。」
メイコは音戯を一瞥して意外そうな顔をする。
「おとぎ・・・わざわざ相方、仲わりぃの」
清掃局二課局員は一応管理職である、担当エリアを基本二人一組の管理人で担当し多数の局員を監督する、レンの相方が音戯と呼ばれた青年である。
「音戯、比呂瀬のアパートに住む二十一歳、独身、無口、意外と小動物が好きで口癖は、『興味ねぇし』・・・以上」
「以上って・・フルネームとかは」
「わからん」
「分からんってそんな情報僕でも知ってますよ、お金返してくださいよ!」
「しっかたねぇだろ、あいつ喋ねぇんだから、あっ・・・身長178センチ」
「見れば大体分かりますよ」
「まぁまぁ・・・新しいの入ったら教えてやるよ」
メイコはレンの肩をポンポンと叩く。
「オハヨウゴザイマス」
高めの声と共に扉を開け入ってきたのは銀色の体にとぼけた顔、下だけ作業着を履きそれを二本の肩ベルトで固定している、場にいる中で一番高身長のロボットだ。
「M―JOYにしてはずいぶんゆっくりね」レンの肩をポンポン叩いていたメイコが逃げるように踵を返してM―JOYに近づく
「ミギ肘ノ関節ニ油ヲサシテイタラコンナ時間ニナッテイマシタ」
そう言うとM―JOYは自分の右手をクイクイとスムーズに動かして見せる。
メイコはM―JOYを上から下へ一瞥し
「そろそろ新しいのに交換すりゃいいのに」
確かにM―JOYの体を見ると所々修繕の跡やこすれた部分が目立つ、しかしそれが新品には無い味と妙な安心感を感じる。
「イヤーコノボディガ一番扱イヤスイノデ。」
M―JOYはマネキンと呼ばれる作業用ロボットの一体でマネキンは仕事場や家庭に深く根付いている。個々の性格にはばらつきがあり自己学習を行い日々進化する最近では何世代にも仕え一族の中で一番の年長者になっているマネキンも少なくない。
「おっと、もう時間ですね」
課長が安そうな腕時計を見つつ部屋を見渡す。
「荒々木君は今日もちこくですか」
課長がやれやれといった表情をしている後ろで有理が眼鏡をクイクイクイクイ上げている。
「あーいつが普通に出社するなんて年に一回あるかないがぁはっ!」
腕を組んでニヤニヤと嫌味をいうメイコに勢いよく扉がディープキス、扉にルージュと鼻血の軌跡を残して崩れ落ちる。
「あっぶねぇ、今日も遅刻するとこだっ・・た」
勢いよく入ってきた細身の男はリズミカルに端末に向かい腕輪をかざす、端末には赤い文字で荒々木 ヒヨリ 遅刻と表示され数秒後消えた。
「お~~~~~ぅギリギリセーフだと思ったのピっ
毎朝恒例のセリフを言い切る前にメイコの拳が荒々木の顔にめり込む。
「アウトじゃこの・・・・ボケーーーーーっ」メイコの怒号と共に荒々木は鼻血の螺旋を伴って吹き飛ぶ、ゆっくりと飛び湿った音を生みながら壁に激突時間厳守と書いてある張り紙に自らの鼻血で濁線を引きながら床に落ちる。
荒々木は鼻をおさえながらヨロヨロと立ち上がり現状把握、敵を見据えて飛ぶ!
「な~にすんじゃこの赤頭!」「こっっちのセリフじゃこのピンク頭!」
互いに鼻血をダバダバ出しながらガッチリ組み合い力比べを始める。
「はい、朝礼始めますよ」
熱戦を他所に淡々と朝の朝礼が始まる。
「えーおはようございます、特に報告は無いでしょうか・・・無いようですね、えー本日も各班安全第一でお願いします」
いつもどうりの朝の風景、部屋奥ではメイコのジャーマンスープレックスが決まっている。
「私からも1つよろしいでしょうか」
有理が課長の前にズイッと出る。
「愛子レン君、この一年無遅刻、無欠席の皆勤賞ですので特別ボーナスです。」
有理がレンへ白い封筒を手渡す。
「一年間お疲れ様でした、周りを見習わずこれからも精進して下さい。」
「あっ有難う御座います」
ペコペコしながらレンは封筒を両手で頂くその後ろで荒々木がメイコに向かってあびせ蹴りを放っている。
「先輩皆勤賞じゃないんですか?」
レンは不思議そうに音戯の方を見る、此処に来てから一年パートナーである音戯が遅刻、欠席した記憶が無い。
「んっ皆勤賞がもらえんのは初年度だけだよ、大事に使え」
「あ~そうなんですか」
「ちなみに後ろの二人も貰ったらしいが・・・」
二人の後ろで荒々木を踏みつけメイコが勝利の雄叫びを上げている。
「・・・あ~そうなんですか」有理が眼鏡を光らせこちらを見ている。
「あっ僕は大丈夫ですよ。」「何が大丈夫だ?」
メイコが息を切らせながらレンの首に腕をからませる。
「梶先輩っ・・・重い・・・」
「レイディーに失礼な事を言うな、二試合目の相手にすっぞ」
部屋の奥では一試合目の相手が血溜まりのベッドに横たわっている。
「いくら入ってんの」
「えっ」「ボーナス」
試合をしながらも朝礼は耳に入っていたらしくレンが持っている白い封筒に興味深々のようだ、レンは戸惑いつつも自分も興味があったので封筒の中を確認してみる。
「一・二・・わっ五万円も入ってますよ」
「ほ~五万、私ん時と同じか、ん~なるほどなるほど」
メイコはしきりに納得してスススッと血溜まりに横たわっている男の元へ言って何かヒソヒソと喋っている。
「なんでしょう?」
「さぁな」
レンの問いかけに音戯は興味なさげにあるいは何か知っているかのように答える。
「それでは、そろそろ仕事場へ向かって下さい」
課長の一声で各々準備を始める。
「レン行くぞ」「はいっ今行きます」
音戯に続いて事務所を出ようとすると何者かが後ろから抱き付いてくる。
「おーい、皆勤王。」
「いでででっ荒々木先輩ちゃんと立って下さい」
顔面を赤く染めた荒々木が後ろから首に両腕を巻きつけ全体重を乗せている。
「俺の知らない間に5ま・・・皆勤賞貰ったんだってぇ、俺も数年前貰ったもんさぁ」
「そうらしいですね・・。」「そこでだ。」「そこで?」
「そう、そこで愛子レン君の皆勤賞を祝って愛子レン君一年間がんばったね会を開きたいんだが」
荒々木はレンに蛇のようにからみつきギュウギュウ締め付ける
「くるじぃ・・いやそんなお気遣い無く・・・」
「おいおい、そんな水臭い事言うなよ現場から直帰の俺らが全員集まって飲むなんてお祝い事とか理由付けないと中々無いじゃ無いか・・・なぁ」
そう言ってレンの耳に息を吹きかける。
「ヴぁぁぁ・・わかりましたから離れてください」
「よーしっ、じゃあ明日な段取りは俺に任しとけ素敵な夜を演出してやっから、音戯もくんだろ」
二人のやり取りを静観していた音戯が話を振られて少し考え込む。
「かわいい後輩を囲む会だぞ来てやれよぉ」
「ああ、行くよ」
ニコニコの荒々木にあきれた表情の音戯それを不思議そうに首をかしげているレン、ほかのメンバーもこちらを注視している。
「よぉーしよしこれで全員集合だな、じゃあお二人さん今日もお仕事がんばって」
レンの頭をペシペシ叩いて荒々木はご機嫌で背後に待機しているメンバーの元へ誇らしげに帰還していった。
「いいのか、お前」
先程から呆れ顔の音戯がずれた眼鏡を直しているレンに問う。
「えっ?飲み会ですか、あまりお酒は強くないですけどたまにはみんなで集まるのもいいかなぁなんて・・・」
精一杯取り繕ったがレンはあまりそういう場は得意ではないむしろ今までできうる限り避けてきた人間である、押しに弱いレンにとって我の強いここの先輩方はある意味天敵である。
「大事に使えって言ったろう・・・まあ俺のじゃねぇからいいけど」
スタスタと廊下を歩き始める音戯、レンはしばし考える、皆勤賞→5万円→飲み会→大事に使え?・・・・・・
「・・・・・・・だっ!ぼっ僕が払うんですか?」
振り向くと音戯ははるか先の廊下の角を曲がって消えた、慌ててバタバタと追いかける
レン、事務所では荒々木達がハイタッチをして盛り上がっていた。
中枢区の人はまばらだ。ここが人で賑わうのは朝と夕の少しの時間だけ今出歩いているのは外仕事の者達が現場に向かうためである。
清掃局二課の仕事はその名のとうり清掃であり街や建物の清掃を一手に引き受けている。
レンと音戯の担当は街に複数ある公園の管理であり、今日はセントラルタワーを中心に広がる円形の公園へ向かう、公園といってもその大きさは遠目にみれば森でありそれを管理するには十人二十人では足りないほどだ。
セントラル公園に到着した二人、入り口にある多目的情報端末に腕輪をかざす現場到着、仕事終わりの際は必ず行い事務所との間で通信する。
音戯は続いて端末を操作しほかの局員の情報を見ている、
レンは一週間ぶりのセントラルを見回す休日ともなれば親子連れなどで賑わうのだが平日は全くと言っていいほど人は居ない、静かな森の奥にそびえ立つセントラルタワーは何時見ても大きさ、高さに圧倒される、空に突き刺さらんばかりのその白いタワーから伸びる線路の上を様々な人を乗せた電車が行く。二週間ぶりだが何時もと同じ風景にすこしほっとする。
「レン」
レンがボーーとタワーを眺めていると、端末の操作を終えた音戯が準備を始めている。
「何時もどうりでいいな。」
そう言うと円形に走る道路をスタスタと行ってしまった。
何時も道理というのは、音戯が道路やベンチや噴水などがあるフリースペースをレンが木々や植物の面倒を見る、というものレンは植物などの知識に長けている理由として誰にも、親にさえ話した事が無いがレンの夢は花屋を開く事である、何故誰にも話さないのかといえば女々しいと馬鹿にされそうだからそれと自信が無いというネガティブ極まりない物で元々植物、特に花が好きなのと人と接するのが苦手という理由からもった夢なので最近では清掃局二課の公園管理も楽しいからいいかなぁ等と気持ちが揺らいでいるがそれでも毎月の給料から少量のお金を店舗開店資金として貯金している。
音戯がさっさと行ってしまい一人ポツンと残されたレンは端末近くにあるコンテナから仕事道具である軍手・ガラ袋・植物の栄養剤などが入ったバッグを持ち道路から外れ森の中へ入って行く新緑の季節、木々の青い葉が風にゆれている、レンは雑草の処理や前に来た時に元気が無かった植物の検診などの仕事をこなして行く、おそらくこの時が愛子レンにとって至福のときなのであろう楽しそうに作業を続ける、仕事が楽しいのは誰もが羨む事だがレンのやっている仕事事態は大体の人が嫌がる仕事のため人それぞれ中々難しい物である。
黙々と作業を続け太陽が一番高く上がる頃レンの元へ音戯が無表情でやってきた。
「飯行くぞ」
「はいっ今行きます。」テンションが上がっている為か何時もより声が大きい。
レンの声の大きさなど意に返さず音戯はスタスタと歩きだす、レンは少し耳を赤くしてその後に続く、レンは最近少し疑問に思う音戯にはどの辺にいるかなど言った覚えも無いのに時間的に探した様子も無く自分の所まで来ている様子だからだ、良いことではないかもしれないが自分はルートを決めて回っているわけでは無いのでパターンも何も無いと思うのだが。
「先輩、今日僕どの辺に居るか言ってませんよね。」小走りで音戯に近づき恐る恐る聞いてみる。
「んっ・・ああ聞いた覚えは無いが。」無表情で答える。
「何で分かったんですか?」
「なんとなく」無表情。
「なんとなくですか?」
「ああ」無表情。
「毎回?」
「ああ」無表情
「超能力者みたいですね」少し似合わない冗談を入れてみた。
「いや」無
柳か暖簾か音戯先輩かという感じでまったく手ごたえの無い会話をしながらセントラル公園に来ている時に何時も行く食堂へ向かう、ほとんどの者は自社ビル内の社食で昼食を済ます為食堂はレン達外勤務の者が大半を占めている。
食堂は今日も賑やかである、ガツガツ食う者、何故か昼間から酒を飲んでいる者等様々な人間が入り混じっている店の奥では梶 メイコが荒々木 ヒヨリを一升ビンで殴っている。
「先輩方またやってますよ」
「構うな時間を取られる」同僚には興味なさげに注文をしにスタスタと行ってしまう。
レンも見つからないように音戯に続く、食堂のメニューは質より量といった趣で多様な種類の中から自分の好みで組み合わせる音戯はオーソドックスにご飯(中)・焼き魚・野菜の煮物・漬物に味噌汁。小食のレンは芋の煮物にサラダのみをトレイに乗せ席へ向かう音戯が空いている席を見つけ座るその隣にレンも着席した。
「なんだそれは」
「え・・・いや気がついたら・・こんな」
レンは腕をプルプルさせて大量の食料を抱えている。2品トレイに乗せて席に向かおうとするレンに気の善い店のおばちゃん連中のオマケにオマケを重ねた結果前方が見えないほどの食料を蓄える事に成功した
「断れよ」音戯は呆れた様子で味噌汁をすする。
「いや・・人のご好意をむげにはできんと・・・」
「残したら逆に失礼だろ」焼き魚を解体しながら正論を口にする。
「ご協力お願いします」
レンは何処から手を付けていいのか迷いながらも決死の覚悟で目の前の山に挑んで行く。背後ではメイコ対荒々木の決着が着いたのか大きな歓声が上がっていた。
α襲来まで 残り二十四時間